【講師連載コラム】あなたは I Message? , You Message?

講師コラム「研修の現場から」
田村元臣(株式会社 Soul Presentation 代表取締役)


「なにを伝えればいいか分からないんです……」

プレゼンの相談を受けるとき、最も多いのがこの質問です。大半の人が「そもそも」なにを伝えればいいのだろうか、という部分で頭を抱えてしまっているようです。

なんとか一生懸命考えて伝えたけど、結局聞き手は首をかしげたままプレゼンが終わる……あなたもそんな経験ありませんか?

なにを伝えればいいのか……

しかし、実はこの「なにを伝えればいいのか」という問いかけ自体が、悩みを一層深くしてしまっていることに多くの方は気づいていません。いったいどういうことでしょうか?

■人は自分の興味のある話しか聞かない

今までこんな経験ないでしょうか? 友人が一生懸命話してくれているのに、その話題に興味がないから一向に内容が頭の中に入ってこない。いわゆる「右から左へ」の状態です。

しかし、これは当たり前のことなんです。人は自分の興味があるもの「しか」聞こうとしません。ですから、必要なのは「なにを伝えればよいのか」ではなく、「聞き手はなにを聞きたがっているのだろうか」と自分に問いかけることなのです。

■聞き手の視点に切り替える

例えば、ビジネスコンペでのプレゼンを考えてみましょう。今まで私が見てきたプレゼンの90%以上は、ひたすら自社目線での「優位性」を訴えていました。

しかし、お客様は自慢話を聞きたいわけではありません。それを手にすることによって「どのような変化(未来)が得られるのか」を聞きたいのです。

優れたプレゼンターは、必ず「聞き手の視点」でプレゼンを組み立てています。例えば「このサービスの活用によって、企業ブランドは大きく向上し、他社と大きな差別化を図れるでしょう」と、聞き手が「欲しい」と思っている未来に紐づけて伝えれば、あなたが選ばれる可能性は飛躍的に高くなります。

言ってみれば、90%以上の人は自分視点の「I Message」を伝え、10%に満たない優れたプレゼンターが、聞き手視点の「You Message」を伝えているのです。

■想像力を鍛えよう

しかし、相手がなにを聞きたがっているのか十分なヒアリングをできない場合も少なくありません。ですから、日頃から想像力(=仮説力)を鍛える必要があります。

私がよくやるトレーニングをご紹介します。

だれかと話しているとき「話し手が伝えたい本心」に思いを巡らせてみましょう。例えば外回りの営業から戻ってきた同僚に「今日は暑いね」と言われたらどうでしょうか。

「共感してほしいのかな」「労ってほしいのかな」それとも「クーラーつけてほしいのかな」--答えは色々とあると思います。相手の顔がパッっと明るくなったら、あなたは正解です。

日本人は奥ゆかしい民族ですから、分かりやすく本音を伝えることが苦手です。ですから、余計いい練習になるんですね。それにその人から信頼感を得られる特典もあります(笑)

プレゼンは、いかに相手の気持ちに寄り添うかです。
伝える内容に悩んだら、自分にこう問いかけましょう「聞き手はなにを聞きたいのだろうか」と。

「I Message」から「You Message」へ。ぜひ覚えておいてください。


田村 元臣

講師からのアドバイス

伝える内容に悩んだら、自分にこう問いかけよう。「聞き手はなにを聞きたいのだろうか」と。

田村元臣/株式会社 Soul Presentation 代表取締役

官公庁向け大手IT企業にて企画業務に従事。300本を超える企画書の作成、それにともなうプレゼンテーションを経験。自らプレゼンターを務めたコンペでは勝率90%超。その過程で、多くの人がプレゼンテーションに対して苦手意識を抱え、悩んでいる現状を知る。どのような人・商品・サービスであっても「光り輝く価値」は必ず存在する。その価値を掘り起こし、相手に「伝わり・選ばれる」プレゼンテーション力を身につける人を創出することをビジョンに据える。

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