プロに訊く『コミュニケーションの極意』

プロに訊く「コミュニケーションの極意」

こんにちは。日本プレゼンテーション教育協会の代表理事・西原です。
「プロに訊く極意」第2弾は「コミュニケーションの極意」と題してお届けします。毎回、協会に寄せられるプレゼンやコミュニケーションに関する質問や、受講者の悩みなどを1つ取り上げて、それについて各界で活躍する様々なプロ講師・専門家にインタビューして、いろいろな視点からアドバイスいただきます。共通するアドバイスあり、独自の切り口で解決する方法もありで、きっと現状の打破するヒントになること間違いなしです!

さらにPodcastで、プロ講師から直接学べる!(2021年1月配信予定)

本連載の連動企画として、アドバイスいただいた講師が聞いて学べるラジオ番組、Podcast「めっちゃ!伝わるプレゼン」のゲストとして登場。協会代表の西原が直接アドバイスを伺います。読み終わった後に聴けば、さらに学べること間違いなしです(2021.1月配信予定)

【今回のお悩み】
上司から「早合点することが多い」「早とちりを治せ」と言われます。
また、周りや部下が「あの人は人の話を全く聞かない」と言っていた、とも聞かされました。
どうすればいいでしょうか?

家電メーカーで働く技術者のBさん(52)は、調理家電部門の開発リーダーとして頑張っている。

ところが、周りとのコミュニケーションがどうも上手くいかない。先日も部長に呼び出され、「早合点することが多い」「早とちりを治せ」と言われました。さらに周りや部下が「あの人は人の話を全く聞かない」と言っていた、とも聞かされました。

Bさんの悩み
・相手の話の途中で、だいたい何を言いたいのか理解できるので遮って答えたら、相手に嫌な顔をされる
・プレゼンで相手の質問に答えたら「そうじゃなくて……」と言われる

一体どうすればよいのだろうか……?

【早合点】
十分に理解しないうちに、わかったと思い込むこと。早のみこみ。「―して期日を間違える」

【早とちり】
早合点して間違えること。「―が多くて困る」

大辞泉

今回、アドバイスいただく先生

越石 正人

工学博士
キャリアコンサルタント(国家資格)
産業カウンセラー

越石 正人 先生

聞き手:西原 猛(日本プレゼンテーション教育協会 代表理事)


今回アドバイスいただくのは、原子力発電の研究開発業務に長く従事し、国家プロジェクトを含め、数多くの研究開発プロジェクトのマネジメント経験も持つ越石先生。マネジメントのみならず、自ら研究を行うべく工学博士の資格を取得し、論理的思考に磨きをかける。さらに、人としての感受性を磨くべく、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を取得。マネジメント、論理的思考、心理学といった幅広い分野の経験と専門知識を持っている。

相手の話を100%理解することは難しい

越石先生は先ず、基本的な心構えとして「相手の話を100%理解することは難しい、ということを理解してください」と話す。

「相手の話には、客観的事実のほか、主観的なもの(意見、考え方、気持ちなど)が含まれます。このうち、相手の主観を理解することはとても難しいものです。これはBさんだけでなく、すべての人にとって難しい課題です」

コミュニケーションの原則は「相手は自分とは違う」。しかしこれを忘れて自分の主観で人の話を聞いてしまいがちだ。そうすると、最後まで話を聞かず、途中で分かったつもりになって人の話を早合点してしまう。では、Bさんのように早合点しないためにはどうすれば良いだろうか?

『……とも言い切れない』という視点を持つ

「『普通、だいたい、こうでしょ』と自分が思っても、相手はそう思わないことがあります。そこで、どこかの漫才師のように、自分の考えについて『……とも言い切れない』という視点を持つように心がけてください」と越石先生はアドバイスする。

そもそも自分の「普通」と相手の「普通」が同じなら何も問題ない。そう、価値観が違うからコミュニケーションがうまくいかないのだ。例えば部下に「この書類、早めに頼むわ」と指示し(この程度の仕事なら普通、午前中にはできるだろう)と「早め」=「午前中」と思っていたら、部下は(別件もあるし、今日中で大丈夫だろう……)と、「早め」=「今日中」と思っていた。そして午後になっても書類が上がってこないので、上司はイラっとして部下に「書類、どうなっているんだ!」と怒るわけだ。

越石先生のアドバイスにあるように(普通、午前中にはできるだろう……)と考えた自分に対し、(……とも言い切れない。まずどのくらいで出来そうか、確認しよう)という視点を持つように心がけたい。

そして部下の話を聞くときも同様で、相手の話の途中で、だいたい何を言いたいのか理解できるので、遮って答えて相手に嫌な顔をされるBさんに対し、

「相手の話を聞きながら『分かった。その先は言わなくてもいいよ』と思ってしまい、相手の話を遮ってしまうのですね。そういう時は、自分が理解したことについて『……とも言い切れない』と自問自答しながら、話を最後まで聞くようにしましょう」と越石先生はアドバイスする。

相手の話を十分に理解するためにも「最後まで聞く」ことが大切だが、それ以外にもコミュニケーションにとって大切なことがあるという。

そもそも、相手の言葉を遮ると相手は苛立つ

「相手の言葉を遮ると、相手は苛立ってしまいます。そうなってしまうと、先ず、相手の苛立ちを取り除かないと、良好なコミュニケーションが築けなくなってしまいますよね? 無駄に時間を過ごしたくないと先走った結果、かえって非効率的になってしまわないよう注意しましょう」

自分の話を途中で遮られて喜ぶ人はいない。人は基本的に他人の話を聞くよりも、自分の話を聞いてもらいたい、という欲求があるからだ。ところがBさんのように社会人経験が豊富であったり、頭の回転が速い人は、部下が最後まで言わなくても何を言いたいのか分かってしまう。そしてせっかち(関西では「いらち」)な性格な人だと、最後まで聞く忍耐がない。ついには部下が話しているのに話を遮り、自分が話し始めてしまうのだ。

果たして、これで部下は「分かってもらえた」と思うだろうか……

さらにBさんには問題がある。「早合点」「早とちり」が多いということだ。……ということは、自分では部下の話の途中で何を言いたいのか分かったつもりでも、本当は分かっていなかった、合っていなかった、ということだ。もちろん、結論を先に言わない・話が長いなど、部下の話し方にも問題がある場合もあるが、本当は何を言いたいのかを判断するためには、やはり最後まで聴くことが重要だ。上司には「忍耐」も必要である。

プレゼンの質疑応答では、相手の質問を正しく理解していることを確認する

また、プレゼンで相手の質問に答えたら「そうじゃなくて……」と言われてしまう、という悩みはどうすれば解決できるだろうか。

「(プレゼンで)相手の質問が終わったら、Bさんが質問をどのように理解したのか、言葉にして確認しましょう。相手は、それでOKかどうか、答えてくれるはずです。間違っていれば、修正してくれるはずです。相手の質問を正しく理解していることを確認できたら、その質問に答えればよいのです」

実にシンプルである。プレゼンでの質疑応答の鉄則は「まず相手の質問を最後まで聴く」。そして「相手の質問の意図を十分に理解してから回答する」。ところが、質疑応答で失敗する人は、相手の質問の意図をしっかり理解しないまま回答し始めるので、「そうじゃなくて……」と言われてしまうのだ。越石先生のアドバイスのように「ただいまのご質問は『納期の短縮はどのくらい可能か』という質問でよろしいでしょうか?」と、質問をどのように理解したのか、言葉にして確認することが大切だ。

なお、ここまでお読みいただいた方はもうご理解いただけると思うが、相手の質問を途中で遮って「あーはいはい、それに関してはですね……」と答え出すのは最悪である。絶対しないように……。

「以上のように、相手の主観を理解することは難しいということを理解した上で、理解するためには最後まで相手の話を聞くこと、自分が理解したことを言葉にして確認することを心掛けてみてください。もしもBさんが、話の途中で先走って未来に飛んでいきかけたら「時を戻そう」と、自分で自分にブレーキをかけてみてください」

まとめ

【今回の悩み】上司から「早合点することが多い」「早とちりを治せ」と言われます。また、周りや部下が「あの人は人の話を全く聞かない」と言っていた、とも聞かされました。どうすれば?

越石 正人

越石先生からのアドバイス

最後まで相手の話を聞くこと自分が理解したことを言葉にして確認すること

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プロに訊く プレゼンの極意 Vol.1

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日本プレゼンテーション教育協会は、商談・コンペ・商品説明会・面接など、様々なビジネスシーンにおいて、もはや必要不可欠な「プレゼンテーション」と「コミュニケーション」の専門教育機関。プレゼンテーションの話の組み立て方や話し方&聴き方、スライド作成技術、コミュニケーションなどをテーマに、各地でプレゼンスキルアップ講座(協会主催)や社内研修、講演会を実施している。
サイト http://jpea.jp
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