講師コラム

【コラム】話し過ぎるのも困りもの……

講師コラム「研修の現場から」
西原 猛(日本プレゼンテーション教育協会 代表理事)

世の中には「プレゼンが得意」という、苦手な方にとっては信じられない人がいます。
しかし、そんな得意な人でも悩みはあるようで……

つい話し過ぎてしまう

それは、「話し過ぎてしまう」という悩み。

プレゼンが得意な人はそもそも話し好きな人が多く、関西では「喋り倒す」という言葉もあるくらい、話し続けます。

ところがプレゼンとなると、それが裏目に出てしまうのです。いざ話し始めると、ついついあの話も、ついでにこの話も……と、持ち前のサービス精神で色々話してしまい、その結果、相手に「情報が多過ぎてよくわからなかった」「結局、言いたいことがよくわからなかった」「聞き疲れた……」と言われてしまうのです。

実は私自身がこの「喋り倒す」人間なので、話し過ぎる人の気持ちがよ〜くわかります。講師としてまだまだ未熟だった頃は、一方的にマシンガントークをぶっ放していました。その結果が、前述のような厳しい反応だったのです。

改めて、なぜプレゼンで話し過ぎてしまうのかを考えてみると、目的が「自分の話を聞いてもらいたい」、つまり俺の話を聞けー!状態になっているから。プレゼンの目的は「相手を動かす」ことなのに、いつの間にか目的がすり替わってしまっているわけですから、そりゃプレゼンがうまくいかないわけです。

話す量より質が大事

そこで「量より質」に方向転換しましょう。

話し過ぎプレゼンターの典型的なパターンの1つに、自分は「A、B、C、D、E……」と様々なことを話しているつもりでも、実は相手から見れば、「A、A’、A”、A+、a……」というように、どれも似たような内容に聞こえることが多いのです。だから話がくどいと言われる……。

それよりも「今回の相手なら、これが一番効果があるだろう」という話を厳選するのです。例えば、自社製品の導入事例を5つも挙げるより、相手の業種業界に合わせた事例を1〜2つに厳選する。機能の説明なら、単に一通り説明するのではなく、相手が知りたがっている機能に絞り込んで説明する、などです。

全ての話や情報は、相手を動かすために本当に必要だったか?
あなたが話したいだけではなかったか?

話し過ぎプレゼンターに上記二つの問いを投げかけると、ほとんどの方が「蛇足だった気がします」「せっかく仕入れた面白そうな情報だったので、誰かに話したかっただけかもしれません」と回答しています。

話し過ぎはかえって何も伝わりません。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」(※)を忘れないようにしましょう。

※物事の程度を超えたゆきすぎは、不足していることと同じようによくないことである(大辞林)

講師からのアドバイス

話す量より質が大事


西原 猛

JPEA代表理事 兼 チーフ・インストラクター

イベントの企画・制作や、上場企業の新製品発表会や決算説明会、株主総会等のPR・IR支援に携わる。この時、プレゼンテーションの成否が「仕事や人生の結果」を左右する事を痛感し協会を設立。企業や学校、教育機関などで活躍している。京都府出身。

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