講師コラム

【コラム】オンライン研修 見えてきた課題「緊張感に欠ける」

オンライン研修で見えてきた課題についてのお話です。もう10年以上登壇させていただいている、とある会社の社員研修が、今年は新型コロナウイルスの影響もあって、急遽 Zoom を使ったオンライン研修に移行することになりました。

通常は東京の研修センターに集まっての1日研修なのですが、オンライン受講は在宅で集中力を保ちにくいということもあり、

  • 時間を短縮する(例:1日研修 9:00-17:00 → 10:00-16:00)
  • より双方向の講義にする
  • 休憩回数を増やす
  • 指名して発言させる

などの工夫を重ねました。

オンライン研修ならではのトラブルをどう回避するか

さて、オンライン研修で最も避けなければならないのは「講義ができなくなる」ことです。すなわち、講師側のインターネット回線が遅いとか、カメラが映らなくなるとか、音声が途切れるなどです。特にインターネット回線に障害が発生し繋がらなくなるのは最悪です。

そこで、主回線と予備回線(当然、主回線とは別のプロバイター)、合わせてパソコンも2台用意し、万が一トラブった時は即座に切り替えられるようにしておく、などの対策が必要です。講師側は絶対に講義を止めてはならないのです。

ところが、受講者側はそこまでトラブル対策をしていません。また、慣れないオンライン研修ということもあり、毎回のように何かしらトラブルが発生していました。

受講するパソコンが故障する

まず、これは想定されていたことですが「パソコンのトラブル」です。オンライン研修に限らず、故障すると焦ります。

  • カメラが映らなくなる、フリーズする
  • 音声がブチブチと途切れる
  • ネットが繋がりにくくなる、切断される

これらは毎回、発生しました。しかし受講者も慣れたもので(?)、Zoomにログインし直す、パソコンを立ち上げ直す、タブレットやスマホに切り替えるなどして、サクッと戻ってきます。

Zoom や Teams などのWEB会議ツールの使い方がよくわからない

今回の受講者は普段から業務でWEB会議ツールを使っていることもあり、使い方がわからず戸惑う方はほとんどいませんでしたが、会社や受講者が違えば、これは十分考えられることです。今回の研修でも、一度だけ「どうやってスライドを映せば良いのかわからないんですけど……」と使い方を質問されました。いずれにせよ、参加者は全員、WEB会議ツールを問題なく使えるはず……という思い込みは捨てましょう。

やはり開始前に、WEB会議ツールの使い方を一通り説明しておくと、スムーズに進みます。他にも……

  • 事前にWEB会議ツールの使い方を学んでおいてもらう
  • 開始前に、基本的な使い方をおさらいする
  • 事務局やアシスタントをつけて、講義中に困っている人を補助する

といった準備や対応が、スムーズなオンライン研修に繋がります。
なお、当然ですが、講師自身はWEB会議ツールに慣れておく、いや「使いこなせるようになっておく」必要があります。

思った以上に「緊張感に欠ける」

しかし、見えてきた課題は別のところにありました。それは予想していたことですが、思った以上に「緊張感に欠ける」ことです。

集合研修の場合、講義中に部屋から出て行くことは、緊急の電話や体調不良以外まずありません。ところが、オンライン研修となると、講義中にも関わらず急に画面からいなくなる人が、少なからず出てきます。中座する理由は「荷物が届く」「電話がかかってくる(仕事か私用かは不明)」「子供の世話」など、幾つか考えられますが、タイミング悪く、これからグループワークをしようという時に急に画面から消えられると、他受講者の迷惑になります。

また、講義中、明らかに何か別の作業をしている人もよく見かけます。メールを打つ、資料作成、WEB閲覧など、研修中に違うことをしていると、まず視線でわかります。学生時代、こっそり授業中に違うことをしていても先生にバレてしまう様に、講師や他受講者は結構、気がついています。

さらには、自宅というリラックスできる環境で、周りに他の受講者がいないので、どうしても緊張感がなくなり、午後になると明らかに寝ている人もいました。

では、どうすれば会場研修並みに緊張感を持たせられるでしょうか。例えば、人事や研修担当者が「受講者の受講態度をしっかりチェックする」ことが必要かもしれません。研修会場に上司や研修担当者の視線があるだけで、ずいぶん緊張感が増します。あるいは、ずっと張り付いていなくても「この研修は録画して、あとで受講態度を評価します」と冒頭に伝えるだけで、ぐっと緊張感が増すはずです。受講者にはプレッシャーですが……

しかし、何と言っても研修にはコストがかかっています。受けるからには集中して学んでもらい、業務に活かし、結果を出して欲しいのが講師の願いです。今後もオンライン研修は継続されると考えられますので、特にこれからオンライン研修をご検討の研修担当者は、ぜひ参考になさってみてください。


西原猛

西原 猛

JPEA代表理事 兼 チーフ・インストラクター

イベントの企画・制作や、上場企業の新製品発表会や決算説明会、株主総会等のPR・IR支援に携わる。この時、プレゼンテーションの成否が「仕事や人生の結果」を左右する事を痛感し協会を設立。企業や学校、教育機関などで活躍している。京都府出身。

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