講師コラム「研修の現場から」
西原 猛(日本プレゼンテーション教育協会 代表理事)
プレゼンで話す内容を「原稿」として書くべきか
皆さんはプレゼンするときに、話す内容を「原稿」として書きますか?
プレゼンテーション研修参加者の中には、話す内容を「原稿」として書いてきたものを片手に、または机の上に置いたものをチラチラ見ながら発表する方が、チラホラいらっしゃいます。
さて、結論から言いますと、これでは伝わりません。なぜなら、プレゼンターは原稿を読むことに一生懸命になってしまい、肝心な「伝える」ことがおろそかになってしまうからです。
「何を話すかではなく、どう話すか」が重要
プレゼンターとしては、話したいことを忘れてはならない、間違ってはいけないと思うから、原稿を準備します。しかし、その原稿にとらわれすぎて、
「創業してから……あ、すみません、えーと、創業以来、当社は多くの……」
……と、聞き手にとっては「そのくらい、わざわざ言い直さなくても……」と思うようなことも、原稿通りに一生懸命話します。1度や2度ならともかく、それが何度も続くから、相手はイライラし始めるのです。
さらに几帳面な人になると、一言一句すべて原稿として書いて丸暗記し、本番では一生懸命「暗唱」するわけですが、はたして相手はそれをどう感じるでしょうか?
そこで実際に、研修で原稿を手に発表した人への感想を他の受講者に聞いてみますと……
「聞いていて危なっかしい」
「自信が全く感じられない」
「内容が全く頭に入ってこない」
……これが聞き手の正直な感想です。
つまり、何かを伝える以前の問題だと言えるでしょう。
公の場におけるスピーチや、マスコミを前にしたプレゼンの場合、間違ってはならないので手元に読み原稿を用意する場合もありますが、ほとんどのビジネスプレゼンは、多少の言い間違いは問題にはなりません。
それよりなにより「伝える情熱」のほうが遥かに重要です。
講師からのアドバイス
読むことより、伝えることを意識しよう
西原 猛
JPEA代表理事 兼 チーフ・インストラクター
イベントの企画・制作や、上場企業の新製品発表会や決算説明会、株主総会等のPR・IR支援に携わる。この時、プレゼンテーションの成否が「仕事や人生の結果」を左右する事を痛感し協会を設立。企業や学校、教育機関などで活躍している。京都府出身。