結論から言いますと、決して褒め言葉ではありません。
続く言葉は、「……が、机上の空論だ」「……が、内容は無いに等しい」などの否定だからです。
ですから、決して素直に喜んではいけません。話「は」、プレゼン「は」の「は」という助詞が曲者ですね。
では、こう言われてしまう原因は何でしょうか?
それはズバリ「自分を良く見せようとし過ぎること」です。
特にこの症状に陥りやすいのは、何度も場数を踏んで自信がつき始めた頃です。
最初の頃のように緊張しなくなり、結果も出るようになって、「もしかして……他人よりプレゼンが上手いのかも……」と思い始めます。
ーーすると、出てくるんですよ、欲が。欲望が。
あいつプレゼン上手いなー、すげーなーと褒めて欲しいという欲が。
ええ、出てきます。かくいう私も経験済みです(T-T)
ところが、これが強くなり過ぎると、スピーチやプレゼンの目的が「相手をいかに動かすか」から、「いかに上手く話すか」「プレゼン上手に見せるか」にすり替わってしまいます。すると、大げさな身振り手振りになったり、インパクトのある画像を使って笑わせようとしたり、スライドデザインに凝りまくってみたり……と、非常に本末転倒なプレゼンになってしまいます。
こんな話をあるメーカーの人事担当者から聞いたことがあります。
「困ったことに、話し方や見せ方ばかりにこだわって、肝心な中身が全く練られていないんですよね……」
聞き手は冷静です。「自分を良く見せるためのプレゼン」には見向きもしません。
自分達に利益のある話、役に立つ情報を提供してくれるプレゼンにのみ、耳を傾けてくれるのです。
もしも「プレゼンは上手いね」と言われてしまったら、なんのために、誰のためにプレゼンをしているのかを見直す必要がある、というサインとして受け止めましょう。
講師からのアドバイス
自分を良く見せようとするプレゼンは、相手から見向きもされない。
西原 猛 JPEA代表理事 兼 チーフ・インストラクター
イベントの企画・制作や、上場企業の新製品発表会や決算説明会、株主総会等のPR・IR支援に携わる。この時、プレゼンテーションの成否が「仕事や人生の結果」を左右する事を痛感し協会を設立。企業や学校、教育機関などで活躍している。京都府出身。