A.丸暗記はやめたほうが良い。原稿を思い出すことに一生懸命になり、肝心な「伝える」ことがおろそかになるから。
一言一句すべて原稿として書いて、それを丸暗記すると……
原稿を手に持って読んでもいい?では、原稿を手に読んで読み上げるのは、意識が聞き手ではなく原稿にばかり行くのでやめましょう、と書きましたが、中には作成した原稿を丸暗記して、本番ではその覚えたものを一生懸命「暗唱」する方がいらっしゃいます。
特に真面目な性格の方に比較的多いように感じますが、はたして聞き手はそれをどう感じるでしょうか?
結論から言いますと、丸暗記も聞き手に全く伝わりません。
原稿を思い出すことに一生懸命になるから
丸暗記もプレゼンターは内容を思い出すことに一生懸命になってしまい、肝心な「伝える」ことがおろそかになってしまうからです。実際に、研修で原稿を手に発表した人への感想を、他の受講者に聞いてみますと……
「聞いていて危なっかしい」
「自信が全く感じられない」
「内容が全く頭に入ってこない」
……これが聞き手の正直な感想です。つまり、何かを伝える以前の問題だと言えるでしょう。プレゼンターとしては、話したいことを忘れてはならない、間違ってはいけないと思うから、原稿を準備します。しかし、その原稿にとらわれすぎて、
「創業してから……あ、すみません、えーと、創業以来、当社は多くの……」
と、聞き手にとっては「そのくらいわざわざ言い直さなくても……」と思うようなことも、原稿通りにしゃべれないと気が済まないようです。
公の場におけるスピーチや、マスコミを前にしたプレゼンの場合、間違ってはならないので手元に読み上げるための原稿を用意する場合もありますが、ほとんどのビジネスプレゼンは、多少言い方が違っても問題にはなりません。そもそも、聞き手の手元にあなたが話す内容が原稿としてあるわけではないので、「てにをは」を間違えたからといって気付きません。ですから、言い直す必要はないのです。それよりなにより「伝える情熱」のほうが遥かに重要です。
しかし手元にメモや原稿が無ければ、忘れた時に不安
……という方が、多々いらっしゃると思いますが、ご安心ください。要点やキーワードを話す順番に並べたプレゼン用メモを準備しておきましょう。
メモは「大きな字でキーワード、キーフレーズだけ書く」
そして「目に見える所に置かないこと」
細かい字でびっしり書いた原稿を用意しても、いざ本番で頭が真っ白になったときには、今どこまでしゃべったのかとっさに見つける事が出来ません。練習していれば、キーワード、キーフレーズだけ分かればすぐに内容を思い出す事が出来ます。
そしてメモは内ポケットに入れたり、裏返して机に置きましょう。
原稿が目に入ると、内容を覚えているにもかかわらず、ついつい心配になって見てしまうのを防止します。
また「ヤバい!頭が真っ白になってしまった!」という場合、いよいよ保険として忍ばせておいた原稿が役に立ちますが、ここで慌てて内ポケットを探ったり、机の上のメモをひっくり返してはなりません。
メモを見るときは慌てず騒がず堂々と。
これがプロっぽく見えるワザです。