顧客へのプレゼンや上司との会話などで、ふと訪れる「沈黙」。
「沈黙=気まずい」というイメージを持つ人も多いと思いますが、「雄弁は銀、沈黙は金」とも言われ、時には沈黙は雄弁であることよりも価値があり、話の説得力が増したり、災いを招かないともされています。仕事の場面で沈黙が続いたとしても、その人にとってはそれが気まずくなる要因とは限りません。
そこで、オンライン語学学習プラットフォーム Preply(プレプリー)が世界各国で「沈黙」について調査した結果をご紹介します。
日本人は長く沈黙に耐えられることが判明

まず、沈黙がどれくらい続くと、人は気まずさを感じるのでしょうか?
「予期せぬ沈黙から気まずさを感じるまでの時間」を調査したところ、世界の平均は約6.8秒でした。ただし、この秒数は国によって異なるようです。
予期せぬ沈黙で気まずさや不快感を感じやすいのはブラジルで、実に85%の人が気まずさを感じ、気まずさを感じるまでの秒数はわずか5.5秒でした。陽気なイメージが強いブラジル人は、活発で途切れることのない会話を好む傾向にあるようです。
一方、日本は「沈黙で気まずさを感じにくいグループ」に入り、気まずさや不快感を感じると回答したのは79%と少なくないものの、気まずさを感じるまでの秒数は7.8秒、さらに、タイは日本よりさらに長い沈黙に耐えられ、その長さは8.1秒と、世界平均と比較してプラス1.3秒長い、という結果に。
沈黙は、相手の話にじっくり耳を傾けたり、思慮深く考えたりする姿勢として、ポジティブに受け取られることもあります。こうした文化的な背景もあり、日本やタイでは比較的長い沈黙でも、気まずさを感じにくい傾向が見られるのかもしれません。
最も気まずいのは「見知らぬ人との何気ない会話の中での沈黙」

沈黙は状況によっては自然に受け入れられますが、時に強い不安や不快感を引き起こすこともあります。では、人はどんな時に沈黙を最も恐れるのでしょうか?ランキングで「沈黙に耐えられない」という結果になったブラジルと、日本を比較します。
日本では、見知らぬ人との何気ない会話(36.0%)や初デート(28.7%)が最も気まずく感じられる沈黙のシチュエーションです。
相手への気配りや「空気を読む」ことが大切にされているため、まだ距離のある相手との沈黙が特に気まずく感じられる傾向があります。沈黙が「気を悪くさせたかもしれない」「会話を続けなければならない」といったプレッシャーを生むことが、日本人にとっての不安につながっているようです。調和や礼儀を重んじる日本の文化が反映されていると考えられます。
一方、ブラジルでは、人前で話す時(47.7%)が最も割合が高く、公の場という緊張感が高まる場面での沈黙が特に恐れられています。
ブラジルでは感情を素直に表現し、人とのつながりや自己表現を大切にする文化があるため、沈黙が「自信のなさ」や「場を盛り上げられていない」と受け取られることを避けたいという意識が働くのかもしれません。
このように、日本では「相手に不快な思いをさせてしまうこと」への不安が沈黙の原因になりやすいのに対して、ブラジルでは「自分をうまく表現できないこと」などへの不安が大きいと考えられます。日本における沈黙は「場の調和が乱れること」への恐れ、ブラジルにおける沈黙は「自己表現がうまくいかず、人との関係や印象に悪影響を与えること」への不安というように、恐れる理由が異なっている可能性があります。
誰との沈黙を気まずいと感じる?

では、誰と沈黙になると気まずさを感じやすいのでしょうか?日本とブラジルの結果を比較した結果をご紹介しましょう。
1.職場(上司・同僚)
両国とも、上司との沈黙は気まずさを感じやすいようですが、日本の方がその割合が若干高いです。日本の職場文化は、上下関係を強く意識する傾向があり、会議や仕事の場面で上司と沈黙が続くと「何か問題があるのかな……?」と感じることが多いでしょう。また、上司との会話が円滑であることが重要視され、沈黙があると気まずさや不安を感じやすい、と考えられます。
一方、ブラジルでも上司との沈黙を気まずく感じる人は多く(39.7%)、上下関係においてもフレンドリーさを保ちつつ、会話を絶やさないことが重視されているのかもしれません。
2.知らない人
日本では「知らない人とはあまり話さない方が無難」という考えが根強くあります。公共の場では、見知らぬ人と目を合わせても会話を始めることは少なく、沈黙自体がそれほど不自然に感じられません。この文化的な違いが、沈黙に対する感覚の違いを生んでいる可能性があります。
一方、ブラジルでは、知らない人との沈黙を気まずく感じる人が圧倒的に多いです(51.7%)。ブラジルでは見知らぬ人にも積極的に話しかける人が多く、ちょっとした雑談を交わすことが日本より多いようで、沈黙が続いて「冷たい人だな」と思われることを恐れ、会話を続けることが礼儀として重要視されているのかもしれません。
3.恋人・友人
日本では「親しい間柄なら沈黙も心地よい」と考える傾向があります。例えば、デート中に静かなカフェで一緒に過ごしながら、お互いに本を読んだり、スマホを見たりすることも珍しくなく、恋人同士でも、会話がない時間を自然なものとして楽しむことが多いようです。
一方、ブラジルでは、恋人との沈黙が気まずい、と感じる割合が日本の約2倍です。ブラジルでは積極的に愛情表現をする人が多いため、沈黙は関係が冷めている、と受け取られやすいのかもしれません。
4.家族・義理の家族
日本では、親族関係にも「適切な距離感」が求められます。特に遠い親戚(36.8%)や義理の家族(33.8%)とは礼儀を意識するため、沈黙が気まずくなりがちです。法事や親族の集まりで「何か話さなきゃ…!」と焦った経験がある人も多いのではないでしょうか。
一方、近い家族(8.2%)との沈黙はそれほど気になりません。親しい間柄なら無理に会話をしなくてもいいという価値観があるため、リビングで各自スマホを見たりテレビを眺めたりする沈黙も、日本では自然なものとされています。ブラジルと比べると、日本は「義理」や「礼儀」に敏感な文化でありながら、親密な関係ほど沈黙を自然なものと感じる傾向があるようです。この沈黙に対する価値観は、日本人の対人関係における距離感をよく表しています。
一方、ブラジルでは、遠い親戚(27.8%)や義理の家族(15.4%)との沈黙に気まずさを感じる人の割合は、日本(遠い親戚:36.8%、義理の家族:33.8%)と比べて明らかに低くなっています。ブラジルは形式や礼儀よりも、フランクな関係性を重視する文化であることが関係していると考えられます。多少、沈黙があっても「気まずい」より「自然」と受け止める人が多いのかもしれません。逆に、近い家族は日本よりも高い割合(14.8%)が気まずさを感じる、と回答しています。
沈黙は必ずしもネガティブなものではなく、シチュエーションによっては多少の沈黙は良い効果を生みます。話し相手の人がどんな文化や価値観を持っているのかを知ることで、コミュニケーションを円滑に進めることができますので、うまく活用しましょう。
出典:オンライン英会話レッスン Preply(プレプリー)調べ
https://preply.com/ja/blog/awkward-silences/
プレゼンの極意:雄弁は銀、沈黙は金
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