今回、アドバイスいただく先生
テーマパークV字回復人財育成トレーナー
講演家・執筆家
今井千尋 先生
香料・医薬品メーカー
取締役 研究所所長
社内プレゼン・トレーナー
鈍寶敬之 氏
聞き手:西原 猛(日本プレゼンテーション教育協会 代表理事)
まずこの悩みを聞いて、世界2大テーマパークにて人事・人財育成・人財開発担当として、現場にて多くの仲間を育成してきた今井先生は「この悩みは仕事をしていたら、一度は経験する壁ではないでしょうか。誰しも同じような体験をしていることが多いのではないでしょうか」と話す。
そして、全国各地の顧客にプレゼンを日常的に行いながら、プレゼンテーション技能検定1級を取得し、社内研修講師として人材育成に携わる、香料・医薬品メーカー取締役/研究所所長の鈍寶氏は「なかなか準備の時間も取れないような突然の報告や商談の時でも、慌てず意図した目的をほぼ達成するには『準備』が重要です」と話す。
日本プレゼンテーション教育協会のアンケート調査でも「何を言いたいのかわからないと言われる」と回答した人は34.3%。また直接言われないものの、多分、相手は心の中で(何を言っているのかさっぱりわからん……)と思っているはず……というセミナー受講生の話もよく耳にする。
話がわかりにくくなる原因とは
まず、話がわかりにくくなる原因について、今井先生は「途中で目的を見失うこと」と話す。
「まずは、人がなぜ話がズレてしまうのか、考えてみたいと思います。こんな言葉を紹介します。『人間最も愚かなことは、途中で目的を見失うということ』です。
「私たちは、毎日多くの情報の渦の中で生活をしています。タスクも次から次へと目の前にやってくるような状況です。今、コロナ渦の最中ともなれば、尚更で、不確実、曖昧さなど今までの前提を覆すような状況も多々あり、昨日の”YES”が、今日の”NO”なんてことはいくらでもある世界の中で、さらにとてもスピード感を求められるような日々を過ごし、仕事をしています」
「だからこそ、様々な私たちの目の前にやってくる情報の中から適切な情報を取捨選択し、最適解を見出す能力が今、必要になってきています。つまり、情報処理能力が求められています。人財育成 3.0 の世界では、今ここの情報を的確に収集し、まとめ、未来にむけて仮説(ゴールイメージ、プロセスイメージ)を立てていける力が必要とも言われています。このことからも、やはり情報を整理し、まとめ、伝える力が必要なのです」
また鈍寶氏は「プレゼンをする側は、これからこういうことを話そうと分かっているわけですが、聞き手はまったく分かっていないことが原因」と説明、だから「まず相手に全体像を示し、聴く準備をしてもらうことが大切です」と話す。
では、具体的にどうすればわかりやすく話すことができるのか。
今井先生は「ゴールを想い描くことから始める」、鈍寶氏は「冒頭に結論=相手にしてほしいこと・伝えたいことを的確に言う」とアドバイスする。